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▼江戸吉原サイドメニュー
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6.手練手管 … 遊女について2

手練手管
郭の例えに「素見(ひやかし)千人、客百人、間夫(まぶ)が十人、地色(いろ)一人」というのがある。
中にやってきて遊女を見てまわるだけのひやかしが千人、そのうち客となるのは百人、馴染みとなって「あんさんだけでありんす」などと言われてうつつを抜かす間夫が十人、しかし、遊女にとって本当に惚れている地色は一人だけという意味だ。
人は集まるが客となるのは一握り。
大金が自由になる人はいつの時代でもそういるものではないのだから、遊女のほうでも客の確保は大変だったのである。
「傾城の恋はまことの恋ならで金持ってこいが本当(ほん)のこいなり」というように、傾城(遊女)はある意味で客にいかに金を遣わせるかが商売である。
たとえば見世から夕食は支給されなかったため、客をとり、その客に何かを頼んでもらわなければ食事にありつけないし、まともに男を相手にしていたのではとても身が持たない。
そこでありとあらゆる手練手管を使って客の心と金をいただくというわけである。

手練手管の種類
起請文(きしょうもん) 起請文というのは、熊野神社の御符に自分の名前を書き血判を押して、
自分の言動に嘘偽りはないと神仏にかけて誓うもの。
それを客に渡したり、目の前で飲み込んだりして愛の証とする。
ただし、遊女の場合は職業がら、七十五枚までは約束を守らなくても神仏に許されたという。
放爪(ほうそう) 遊女が自らの爪を剥いで男に贈るもの。
爪剥ともいう。
断髪 遊女の髪を切り男に与えるもの。
切り役は原則として相手の男。
入れぼくろ お互いに手を握りあった時の親指の先の位置にほくろのような入れ墨を入れること。
のちに「○○様命」と二の腕に名前を掘込むまでになった。
これをお灸などで消すことを「火葬」という。
切指(せっし) 遊女が自分の指を切って男に与えるもの。
もらった男は誰にも内緒でお守り袋に入れて肌身放さないようにする。
何度も出来るものではないので、中には死体の指を買ったり、偽物を用意したりしたという。
貫肉 誠の証として自ら腕や股を刀で突くもの。
主に衆道(男色)のほうで行われ、遊女はほとんどしない。

傾城に誠なし
遊女たるもの相手に本気になるのは野暮。
それを真に受ける男はよほど純情か馬鹿なので、言ってみればタヌキとキツネの化かしあいみたいなものである。
しかし、売り物である自らの肉体に傷をつけてまで客の気を引かなければいけなかったとは、哀れな境遇である。

ありんす言葉
どの業界にも特殊用語はあるが、吉原といえば「ありんす」言葉が有名である。
地方出身の遊女が多いことから、お国なまりを隠すために使われたらしい。
その独特な言葉の響で男たちを悩殺していたのであろう。
しかし、長年親しんだ言葉はそう抜けず、運良く結婚という運びになってもありんす言葉で世間に素性がバレてしまったという。
現代でも、風俗の匂いはなかなか消せないものである。

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